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2007年3月

2007年3月30日 (金)

もうすぐ40歳



極東ブログ: 健全なる精神は健全なる肉体に宿る、ってか


20年前は筋トレをしてた.ベンチプレスで95kgはあがって100kgはあがらない.そんな程度.4年間筋トレして付けた筋肉は,4年間サボると落ちきると言われた.それから20年.当時つけた筋肉は跡形もなくなった.上半身はふたまわりやせて,ズボンのサイズはふたまわり肥えた.体力も落ちた.


ものごとをロジカルに考え続けること.簡単に分かってしまって安心せずに,分かった後,さらにその先について再度ロジカルな追求を開始すること.そういった思考のダイナミズムを確保するのにそれなりの身体能力が必要なのは間違いない.実感している.


困るのは,その「必要な身体能力」を失ったことに気付きにくいこと.自分の頭も老いてきてるんだろうけど,それだけに留まらず,身体・肉体にまつわる諸々を「いつのまにか」失ってる.自分のそういう老いの下降軌道を修正するために,日々あるく歩数を増やすことから開始した.まったく年寄りくさい話だが.


でも,1ヶ月継続したあたりから,少しずつ,苔むしてた部分が転がりだした.偶然ではなく歩く習慣をつけた効果はあった.


先見日記 Insight Diaries



30代を抜け出るときがそうだった。40歳は男の厄年というが、正にそうで、体も生活も駄目つづきで、でもお陰でどん底で居直ることができた。どん底というのは望んで入り込めるものではなくて、やはり運命としてやってくる。人間の頭とパソコンは似てるといっても、そこのところがまるで違う。



この「駄目続き」の雰囲気は若干でも想像できるけど,「どん底」で「居直る」がどのようなことか見当がつかない.赤瀬川原平氏の文なので,不安にはならず,落ち着けはするのだが.


ところで「胆力」というのは,その概念を良く知らないですが,肉体・身体・精神・知力のどのへんに位置するのだろう.


形にまつわる本数冊



本棚を整理してたら出てきた本数冊.メモ.



形の科学百科事典

形の科学百科事典





2005年度の毎日出版文化賞受賞.めくってると,たまにすごく面白い記事と出会う.各項目に他のどの項目と関連するか番号が付されていて,その番号をたどりながら(webサイトをクリックして狩猟するように)いろいろな項目を横断して読めるのが魅力.ほんの少しだけ自分も関わった本なので売れると嬉しい.


雪などの結晶の成長について,界面の数理から演繹的に記述する話.この分野で生まれた数学はLevel Set Methodなど画像処理など工学で多数応用されてもいる.



かたちと力―原子からレンブラントへ

かたちと力―原子からレンブラントへ





松岡正剛氏も激賞の本.


松岡正剛の千夜千冊『かたちと力』ルネ・ユイグ


私は斜め読みしかしてない.世界に対する興味の持ち方が自分とはまったく違って驚く.


散逸構造 - Wikipedia


はまぞうでは岩波の「散逸構造」がひっかからなかった.この学派に属するのであろうエンジニアが欧州には大勢居て役に立ったり立たなかったりする良い仕事を継続してる.


2007年3月29日 (木)

すごみのあるエレクトリカルパレード



ねぶたを思い出して,さらに思い出したので.このCDは,いつもケチャのところで爆笑する.



新日本語学校

新日本語学校





鳴り物応援の賛否



鳴り物応援 - Wikipedia


思い出したこと.今はどうか知りませんが,10年ほど前ねぶた祭に参加したときのこと.


同じねぶた祭でも,どの場所に参加するかで印象が全然違いました.みんながホイッスルなど鳴り物をならして賑やかに跳ねる場所と,ゆっくりと鳴る太鼓を背景にみんなで静かに歩いてる場所と.後者は基本的に参加者は黙ってる.夜,太鼓が低くどぉん,どぉんと鳴ってるのを聞きながら粛々と歩く.歩きながら後ろを振り返ると,自分たちに向かって巨大な「ねぶた」が静かに覆いかぶさるように迫ってくる.それを見たときは,誇張ではなく,その迫力に鳥肌が立ちました.


鳴り物無しの場所がなくなるのは寂しい.


2007年3月28日 (水)

地中生命の驚異



必要があって久しぶりに一部を読み返す.系統樹の話と窒素循環の話が面白い.


rRNAを手がかりにすると,生き物は「真性細菌」「古細菌」「真核生物」の領界に分類できる.Trees Based on 16s rDNA



人々に強い印象を与えたのは,身の周りに見られる生命の多様性,つまり多細胞の植物と動物が,新しい普遍的な系統樹では,真核生物という一つの枝の中の二本の小枝に過ぎないことだった.



小学校以来,ミドリムシは動物と植物の間の生き物であるような印象を持っていたけど,この系統樹を見ると,ミドリムシが動物・植物・細菌といった馴染みの生き物から随分離れた存在だってことが分かる.


あと窒素循環について.


地球上で生きるすべての細胞が窒素を必要とするが,呼吸で窒素分子を吸い込んでも,体内に同化させることができない.空中の窒素ガスを体内に同化させてくれるのは,土中に住む「窒素固定細菌」と呼ばれる原核生物.これら細菌は窒素分子を「ニトロゲナーゼ」という酵素をつかって窒素ガスをアンモニウムに変える.



この貴重な酵素が,全地球に数キログラムしか存在しない(中略)これを失うと今日の地球の生命は停止してしまう.




二〇世紀初頭,彼ら(科学者たち)はパニックに襲われた.堆肥や採掘された埋蔵窒素だけでは急増する人口を支えるだけの肥料を十分に作れない




窒素はトリニトロトルエンを始め戦争で利用される爆発物の重要な原料だった




そこで二〇世紀初頭の一〇年間には,地下の窒素固定細菌が何十億年もやってきたこと,つまり窒素ガスからアンモニウムを作る方法を解明する競争が始まった




(フリッツ・ハーバーが)1909年に合成方法の特許をとった




今日でもハーバーの方法が経済的に実行可能な唯一の合成窒素の生産方法




今日地球規模で見ると人間がハーバー法で固定する窒素量は,土壌に生息する窒素固定細菌全部が固定する窒素を上回っている.言い換えると,我々は重大なやり方で窒素循環に割り込んでいるのだ.しかし我々は正当な理由でそうしてきた.どの時期をとっても,人口の最低三分の一はハーバー法で食物を与えられていると考えられるからである.




ハーバー法は飢えた世界に食物を与える助けになったが,それは同時にもっとも重大な環境的脅威を生み出した.




問題となるのは硝酸塩だけではない.細菌では二酸化窒素と呼ばれるガス状の窒素が心配されている.




人間の知恵はいつも人々に食物を与える方法を見だしてきた.我々が窒素循環に手を加えた結果生み出された環境問題も,同じ人間の知恵で解決できるだろう.




この一世紀の間に我々がおこなってきた窒素固定によって,地球が維持できる生命の環境容量は著しく大きくなった.その生命,そして自然環境の質を維持してゆきたければ,我々は自分たちが固定する窒素をよりよく,より効果的に管理する方法を見いださなければならない.



自分の体が窒素工場無しでは維持できないことを知ったときは,少なからずショックだったものです.



地中生命の驚異―秘められた自然誌

地中生命の驚異―秘められた自然誌





2007年3月27日 (火)

緊急地震速報



気象庁の緊急地震速報システム


気象庁 | 緊急地震速報とは


リアルタイム地震情報とは-リアルタイム地震情報利用協議会


REICと沖電気、「リアルタイム地震防災システム」を共同開発|OKI


走行中の列車,津波対策の水門,発電所,航空機,ガス,水道,病院などなどの被害を小さくする上で有効でしょう.震源近くの被害は防げなくても,周辺の被害は小さくできる.その分自衛隊や消防,病院,ボランティアの人々など,被災地復旧に必要な資源(有限)を集中できます.


気象庁のページには次のような文章が明記されています.



緊急地震速報の限界


(時間)



  • 情報を発表してから大きな揺れが到達するまでの時間は長い場合でも十秒から数十秒

  • 震源に近いところでは,情報の提供が主要動の到達に間に合わない



ほかに,誤報や規模の推定精度などの限界が明記してあります.


以下参考.記事の見出しに違和感.


asahi.com:気象庁、初の発生前予測 震源近くは揺れより後に - 能登地震


緊急地震速報、能登沖地震の震源近くでは間に合わず : 能登沖地震 : 特集 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)


万歩計の副作用



1日平均1万2千歩あるくようになって1ヶ月.副作用で靴下のかかとが軒並み磨り減ってきた.靴下は片方に穴が空くと両方とも履けなくなるけれども,同じ色柄の靴下を複数買っておけば,そのような無駄が軽減される.


職人気質



職人気質を持つ大人の知り合いが何人か居る.職人ではないけど職人気質の人.職人といえども四六時中仕事をしているわけではなく,ご飯を食べたり買い物したりいろいろするわけで,そういう仕事以外の時間帯の立ち居振る舞いにも,その人が仕事に取り組んできた過程で染み付いたスタイルが現われたり貫かれたりしている人.


「師匠」が心底有難いのは,そういう気質を示してくれるところだと思う.


宮崎駿・創作の秘密



第45回 スペシャル(2007年3月27日放送) | NHK プロフェッショナル 仕事の流儀



  • 瀬戸内のアトリエ外観の映像は,場所を特定できてしまうのではないか.

  • 「ゲド戦記」の初号試写を途中で抜け出たエピソードは必要だったのか.

  • 茂木氏のインタビューがあきれかえるほど詰まらない.


たびたび見てきて面白いと思ってきた番組で,しかも,あの宮崎監督を対象としたスペシャルだったのに,乗り切れない.番組の作り手にいろいろな配慮が足りなくて,小さな悪意すら感じる.気のせいか.


2007年3月26日 (月)

相撲



大相撲春場所がおわった.


相撲はスポーツか



相撲はスポーツという芸を見せる興行であり



これまでテレビで,そういうものとして,相撲を観てきた気がします.そしてそういう相撲が嫌いではない.嫌いなわけがない.興行として面白ければ面白いのだから.「興行」と聞いたとたんに関心をなくすその態度には,なんというかカマトト入ってる.手品を観て「嘘だ」と言ったり劇中で泣く俳優を観て「うそ泣きだ」と言ったりする頓珍漢にも近い.評価軸がずれてる.


野球で言えば大リーグから4割バッターが居なくなった(一方で1割バッターも減った)のと同じ法則にしたがって,相撲でも力士全体の平均スキルは向上し,トップとボトムの差は小さくなる.その大局的な傾向からは逃れられない.


相撲業界に興行色を排除し勝敗を本気で競い合うことを要求して,一方で横綱大関に従来どおりの勝ち星を要求するのは,それは無茶だと思う.


2007年3月23日 (金)

英語でしゃべらナイト



英語でしゃべらナイト


気付くと放送していて,気付いたら見入ってしまう番組.とても面白い番組だったと思う(あ,番組はまだ続く.また気付いたら観よう).


「揚げ豆腐」が I get off.で思い出したのは,国際会議で「あーむたーど」と英語に堪能な日本人の先生が(わざと)発音して,その場に居たネイティブには I am tired.だと通じたけど英語が普通な日本人には通じなかったという別ルートで聞いたエピソード.


そういえば,私の先輩は英語に堪能だが飽くことなく鍛錬を続けていて,子音の発音を強化するために水泳をはじめて(肺活量が欲しかったとのこと),その副作用でダイエットにも成功していた.むー.


2007年3月22日 (木)

最近のヒット


見世物小屋




贈る物語 Wonder すこしふしぎの驚きをあなたに (光文社文庫)

贈る物語 Wonder すこしふしぎの驚きをあなたに (光文社文庫)



  • 出版社/メーカー: 光文社

  • 発売日: 2006/11/09

  • メディア: 文庫





目次


はじめに


第一章 愛の驚き


 夏の葬列 山川方夫


 愛の手紙 ジャック・フィニイ/福島正実訳


 窓鴉 式貴士


 雨傘 川端康成


第二章 みじかい驚き


 よけいなものが 井上雅彦


 蟻の行列 北野勇作 イラスト=森川弘子


 絵の贈り物 画=福田隆義


  老年 藤沢周平


  夜のリフレーン 皆川博子


  草原の人形 眉村卓


  渚の風景 佐藤愛子


  ルーツ 河野典生


  返書 赤江瀑


 雪に願いを 岡崎二郎


第三章 おかしな驚き


 ニュースおじさん 大場惑


 江戸宙灼熱繰言 いとうせいこう


第四章 こわい驚き


 鏡地獄 江戸川乱歩 画=片山健


 托卵 平山夢明


第五章 未来の驚き、「私」の驚き


 戦士たち 光瀬龍


 ひとつの装置 星新一


 太陽系最後の日 アーサー・C・クラーク/宇野利泰訳


おわりに


文庫版あとがき



第四章の平山夢明作「托卵」が私には圧倒的に面白かった.見世物小屋で,断食・不眠の芸を見せる男をめぐる話.あとは第三章の「ニュースおじさん」と.


本物の見世物小屋を見た経験が私には無い.活字ではじめて見世物小屋に触れたのは,たぶん「柿の種」だったと思う.自分に欠けてる多くの部分のうち,ある部分を代表するなにかのシンボルだと思う.



柿の種 (岩波文庫)

柿の種 (岩波文庫)



  • 出版社/メーカー: 岩波書店

  • 発売日: 1996/04

  • メディア: 文庫




2007年3月19日 (月)

Laplacianの固有関数



今日はUniv. of CaliforniaのProf.Saitoの講演を聴いた.


Naoki Saito’s Home Page


主成分分析のように対象に特化した基底関数を用意するアプローチと本質的に異なり,対象に依存しない汎用的な基底で(フーリエ解析におけるsin, cos関数に相当する関数で)入力信号を分解する.その基底関数にラプラシアンの固有関数を用いること,そして,その固有関数を自由な形状を持つ領域に対して定めることが主題だった.


計測の手法や,計測データの初期処理の筋の良し悪しで,高次処理の性能が劇的に変化する.数学家によるこのような研究は極めて意義深い.


2007年3月17日 (土)

穴を掘るなら水がでるまで



直感を信じろ、自分を信じろ、好きを貫け、人を褒めろ、人の粗探ししてる暇があったら自分で何かやれ。 - My Life Between Silicon Valley and Japan


最近実感していることを.



  • 自分の若かりしころの直感を信じ続けるべきだったと10年経ってから気付くのは辛い.

  • 何かについて真剣に取り組んでいて,その最中に得られた直感こそが世界のフロンティア.

  • そのフロンティアが形になる(=メディアに予告されたり正式に発表されたりする)までには数年から10年の時間がかかる.

  • その直感(=世界のフロンティア)は,たぶん少数ながらも世界同時多発している.

  • 直感が得られてから形にするまで走り続けられるかどうかは才能に依存する.

  • 才能に依存することは,周囲のサポートを必要としないことを意味しない(当然).

  • 明らかに自分よりものを良く知っていて普段敬ってる人であっても,その直感(=フロンティア)については,その人は自分より後方に位置する.



個人的な感想.


同時代に生きる人と競争したり共同作業したりするという意識だけではなく,自分の立ち位置を歴史的に俯瞰する視点があると,多少の中傷や無理解にも揺らがなくなるような気がする.好きになることのあとに来る「使命感」に近い感じが持てるかどうか,とか.


直感を得てから形にするまでの道のりは,普通に孤独なことが多いし,自分の才能の欠如に立ちすくんだりすることも多い.


そういうときの大人からの理解や激励は,ものすごく貴重だ.それが,ほんの些細な一言でも.本当に,そういえばそうだと思う.肝に銘じよう.


2007年3月16日 (金)

鎌倉大仏の素材

 

 

面白い本だった.例えば次のようなことが書いてあった.メモ.


  1. 大仏の銅の成分は1957年に早稲田大学鋳物研究所が調査した.

  2. 鉛を10%以上含む青銅であった.

  3. 青銅に鉛が加わると融点が低くなり鋳型の隅々まで青銅がいきわたる.

  4. 一方,鉛の分布にむらができて均一な鋳造が難しくなる

  5. 当時流通していた宋の銅銭は鉛が多く,組成が近い

  6. 鉛の同位体比を調べると,鉛の産地が日本・朝鮮半島・華北・華中・華南のどこであったか判別できる

  7. 分析の結果,揚子江流域の鉛であることが判明した

  8. 宋銭が原材料という説に信憑性が高まる

  9. 鎌倉大仏の総重量は120トン

  10. すべてを宋銭でまかなったのであろうか

 

2007年3月15日 (木)

落ちたコンタクトレンズの分布



@nifty:デイリーポータルZ:コンタクトレンズはどこに落ちるのか


実際にやった結果をはじめてみました.


この手の分布の算数についてはこの本.


2007年3月14日 (水)

アナログブレイン




アナログ・ブレイン―脳は世界をどう表象するか?

アナログ・ブレイン―脳は世界をどう表象するか?





原題は The Space Between Our Ears: How the Brain Represents Visual Space(二つの耳の間にある空間:脳は視覚空間をいかに表現するか).訳者の鈴木光太郎氏(本文中の「訳注」がタイムリーに挿入されていて読みやすい)のあとがきによると,「すぐれた科学書にあたえられるイギリスの科学振興財団の賞,ウェルカム・トランスト・プライズを受賞した」とのこと.


原題のとおり,眼からの情報が脳にどのように表されているかについて,とても分かりやすく書かれている.著者の立場は「はじめに」で明確に述べられている.



私は,脳は地図製作者だという立場をとる.脳のなかには複数の地図があって,それらが私たちの空間知覚の基礎をなしている.




ものを見るとき,眼は物理空間のさまざまな方向からくる光を受けとり,次に脳がその物理空間内に位置づけられた行為を生み出す.(中略)神経科学者がこれらのマップと行為の間の関係を探っていけば,おそらくいろんなマップが次々に見つかるに違いない.(中略)視覚から行為にいたるこの経路には,マップが消えて「空間の視覚的意識」が現われるといった,なぞめいた横道などない.空間の視覚的意識というのはたんに,網膜から行為にいたるさまざまなマップの活動そのものなのだ.



網膜が受容した像から,行為に有用な特徴を抽出して像の「マップ」を作る.そのマップを受けてより別の情報を抽出して異なる「マップ」を作る.こういったマップとその連鎖が本質であることが説明される.


一読して気づくのは,微分演算が視覚において極めて重要な役割を果たしていることだ.すなわち,明るい部分と暗い部分の境界を見つけるために明暗の差を検出したり,動きを検知するために時間変化を検出したりする.これらは,少し気取って言えば空間微分と時間微分演算そのものだ.こういった微分演算が受容野でなされていることなどが述べられている.


像からどのような特徴を抽出すべきかは問題だ.画像認識処理に関心ある研究者の多くが読んでる本「ビジョン」は,この,「像をどのような特徴で表現すべきか」について書かれた本の一つだった.そこでは次のような枠組みが提示される.


1:画像


2:原始スケッチ(primal sketch)--明暗が変化する位置とその配置.


3:2-1/2次元スケッチ --観察者(カメラ)から対象までの距離,各位置における対象表面の法線方向など.


4:3次元モデル --対象の(階層的な)形状モデル


1→2の処理は,画像に対する微分演算が基本.2→3はステレオや陰影による3次元形状復元処理が基本.特に後者のステレオ復元の数理については,ここ15年ほどで格段の進歩があった.下記URLはそのような成果から生み出されたアプリケーションのひとつ.


Photo Tourism


asin:4782851235



対象の3次元形状の計測とモデル化は視覚系の重要なタスクの一つで,もう一つ重要なタスクが文字や人の顔などの認識だ.認識機械は対象のデータ(画像)を対象のコード(例えばASCIIコード)へと変換する.この際問題となるのは,同一コードを持つ対象が,多種多様なデータとして観測されることだ.例えば文字の「あ」は,フォントか手書きか.誰がどのようなペンで書くかなどによって変形して,異なる画像として観測される.それら異なる画像の差異を無視して,同一コードを出力しないといけない.このような認識に対して本書「アナログブレイン」は,生成モデルを紹介する.すなわち,先見的な知識を事前確率で表して,その事前確率と観測された事象に基づいて,ベイズ推定をおこなう枠組みを紹介する.



もし知覚についてベイズ流の考えが正しいなら,知覚とはモデルであって,私たちはそのモデルを使って外界について的確な推測をしていることになる.(中略)知覚のプロセスは,内的モデルを選び,そのあとデータに対してそれをチェックすることだと言える.




生成モデルはまた,私たちが筋肉をどう動かすかも説明し始めている.(中略)もし行為には,内的モデルと身体の現在の状態との間の比較が含まれているのなら,知覚と行為という区別は消えることになる.



この知覚と行為の区別は消える云々の指摘は味わい深い.


画像処理との関連では,第9章「バベルの画像図書館」でガボールフィルタの話と固有顔について触れられていた.後者の固有顔については,実は画像から特徴抽出をおこなう枠組みから外れている.実用に耐える認識機械の多くは,文字と顔の認識については,画像を特徴で表現したものを用いるより,画像を直接認識機械に入力することによって実現されている.画像からの特徴抽出がベラボウに難しいことが理由のひとつ.画像特徴を抽出するような低次の処理と認識のような高次の処理の関係について,次のように指摘する.本書を読んで最も私の印象に残った場所のひとつ.長いが引用する.



もし知覚が内的に生成された幻覚で,私たちはそれを「データ」照らしてチェックするというのなら,なにがデータなのだろうか?網膜にある生の像か,それとも一次視覚野にある情報なのか?(中略)網膜は,棹体と錐体がとらえた光子数を比較する「コントラスト」の信号に変換し,視神経線維に伝える.(略)わかっているかぎりでは,このプロセスは,高次レベルのモデルの介入を必要としない(略)視床や一次視覚野になってやっと,逆方向(高次レベルのモデルから低次処理への)「フィードバック」的連絡が見つかる.(略)フィードバック的連絡が,低次のレベルの細胞の活動を変化させると主張している生理学者もいるが,これはにわかには信じがたい.(略)


網膜と一次視覚野は,「仮説検証」がおこなえる場所ではない.そこにあるアナログ・コンピュータは,自然淘汰によって数百万,数千万年をかけて,入力データを形どるように作り上げられてきた.ボトムアップ処理とトップダウン処理の間の歩み寄りは,まずはボトムアップ処理によって像が自動的に分析され,入力データを仮説検証が受けられる形式にすることである.



この「ボトムアップ処理」と「トップダウン処理」の実現には,それぞれの処理に適した数学(例えば後者では統計)の成果が応用される.そして,これら2種類の処理の歩み寄りには,工学的に成功しているとは現状では言い難い.



「おわりに」では次のように述べられる.著者の直感も含んでいて傾聴に値すると思う.信じるかどうかは別で.



世界のなかを動き回り世界と相互作用する機械なら,入ってくるデータと内的モデルを照らし合わせることができるだろう.これが意味の問題を回避する.すなわち,そのモデルの意味は,機械の内部になるのではなく,外側の世界にあるのだ.




私の主張は,環境のなかを動き回り環境と相互作用する上でほんとうに効果的な機械なら,私たちの脳同様,強力なアナログ・コンピュータの要素をもつだろう,ということだ.



2007年3月13日 (火)

情報系




  • 全国の大学で,情報系の学科の人気がここ数年下がってきている.理由はいろいろ取りざたされているけれども,実のところは良く分からない.



  • 「電気情報」学科だったのを,電気電子工学科と情報工学科とに分けた.分けたところ,「情報工学科の卒業生は電子回路の知識が無いから採らない」と言ってくる企業があった,と最近就職担当の教員から聞いた.情報系の人気低下と関係ある話かどうか分からない.



  • 機械系学科の人気が上がりつつあるとのこと.「ロボットブームですから」と当該学科の教員が言っていた.本当か.

2007年3月12日 (月)

井上達二



メモ:日露戦争で負傷した兵士のうち,弾丸で脳を損傷した兵士の視覚障害を緻密に調べた医師,とのこと.脳の一部を損傷すると,視野の一部が見えなくなる.このことをつかって鳥距溝周辺の視覚地図を作成した.


銅像 井上達二


下記の本の一部にあったエピソード(この本,コンピュータビジョンの研究者は読むと良いかも).この本を読んで気付いたり面白かったりしたことを,少しずつメモ.



アナログ・ブレイン―脳は世界をどう表象するか?

アナログ・ブレイン―脳は世界をどう表象するか?





2007年3月 9日 (金)

アゲハチョウ



読んでる途中の本にあったエピソード.有名なのかしらん.


交尾相手を探すアゲハチョウは,自分が斜面にいたら斜面を登る方向に飛んでいく.



もし地形のなかに頂上がひとつしかないなら,求愛者も未来の相手も,みなこのアゲハ独身クラブの集会場所に集まってくることになる.



今日は筑波出張.筑波駅から筑波大まで徒歩.今日の歩数1万6千歩.


2007年3月 8日 (木)

耳たぶの効用



音を聞いて,その音源の位置を推定することを音源定位という.


音源から左耳までの距離と右耳までの距離が違って,


同じ音が違う時刻に聞こえる.


その時間差で音源の方向が分かる,と多くの人が思ってる.


半分あってるけど,それだけでは,音源が上にあるのか下にあるのか区別できない.


真正面の上のほうにある音源も


下のほうにある音源も,音は左右の耳に同時に届く.


でも,人は音源が上にあるか下にあるか区別できる.


音は鼓膜に直接届く以外に,


顔の表面にそって伝播したり耳たぶから反射して届く.


上からくる音と下からくる音では,


顔表面や耳たぶから受ける影響が違う.


その影響の違いが上下の音源定位に重要な役割を果たす.


臨場感あふれる音の情景を録音するのに,ダミーヘッドが使われるのは周知のとおり.


ダミーの頭部模型(耳たぶつき)の耳の位置にマイクを仕込んで,録音する.


顔表面や耳たぶの影響を受けた音が録音される.


そうやって録音された音を再生して聞くと,


すこぶる臨場感がある.


さて,人によって頭部の形は異なる.


誰に対しても臨場感を与えるような


「標準ダミーヘッド」は存在するか,という話.


…そういえば,芸能山城組のCDにダミーヘッドを使って録音したものがあった.


#手元にある「Ecophny Gaia」がはまぞうにひっかからない.


万歩計



買った.歩数を計った.今日は1万2千623歩.バスをやめて最寄の地下鉄まで歩くようになってから歩数が増えてると思う.


父は園芸農家で,温室を歩き回る.歩数はやっぱり毎日1万数千歩とのこと.


[rakuten:murauchi-denki:10843910:detail]


2007年3月 7日 (水)

買い物




SONY ウォークマン Sシリーズ FMラジオ内蔵 メモリータイプ 1GB ブラック NW-S703F BM

SONY ウォークマン Sシリーズ FMラジオ内蔵 メモリータイプ 1GB ブラック NW-S703F BM



  • 出版社/メーカー: ソニー

  • 発売日: 2006/10/21

  • メディア: エレクトロニクス




ノイズキャンセラーに惹かれて購入.思ったほどノイズをキャンセルしなくてがっかりした.


iPod+Quiet Comfortと比べるからかもしれない.


外で聞くことを考えてるので「音質」云々にはそれほどこだわらないけど,ノイズは無視できない.ウォークマンはノイズの量が多くて,長時間聞くと頭痛がしそう.イコライザとかで調整しないといけないのかもしれない.





2007年3月 6日 (火)

撮像素子



カメラの撮像素子はシリコンでできている.


シリコンといえばガラスの原材料.


シャッターがが閉じてる間はカメラの中は真っ暗.


シャッターを開くと撮像面上にレンズが像を結ぶ.


像が明るい位置には光が沢山あたる.


像が暗い位置にはあまり光があたっていない.


シリコンに光があたると,電子が飛び出す.


飛び出す電子はマイナス.


飛び出たあとは正孔と呼ばれてプラス.


そのまま放っておくと,マイナスとプラスで引きあって,元の鞘に戻る.


ところが,撮像素子はドーピングによって


片面には電子が多くあって


他方の面には正孔が多くあるように調整されている.


片面がマイナスで片面がプラスになっている.


だから,光があたって出来上がった電子と正孔は元の鞘に戻らずに


プラスとマイナスの面へとそれぞれ引っ張られる.


沢山光のあたる明るい位置には,電子が沢山たまる.


光のあまりあたらなかった位置には,電子はあまりたまらない.


これで,像の明暗が,電子の粗密に変換された.


あとは各位置の電子の量を外側に読み出せば良い.


CCDは電子のバケツリレーをする.


2007年3月 5日 (月)

なべじき




SUNCRAFT シリコーングリップ(グリーン) AL-148

SUNCRAFT シリコーングリップ(グリーン) AL-148



  • 出版社/メーカー: 川嶋工業

  • メディア: ホーム&キッチン




デザインもよくて,かさばらなくて,やわらかいから鍋つかみやビンの蓋あけに使えたりして,買ってよかったです.


ちょうのうりょくとか



asahi.com:朝日新聞のニュースサイト


超能力とか心霊現象とかのテレビ番組の逝きすぎ是正は賛成だけど,その切り口が霊感商法対策といわれると戸惑う.単純にそれ以前の問題な気がする.普通に胡散臭いし,こういう番組が流行ることをきっかけに科学は死んだとか下流志向とか議論するのも事大野郎な気がする.「納豆でやせる」は駄目で「オーラが見える」が良いのは何故か説明しろよと言われると少し怯むのは,単純にそれ以前の問題な気がするからだと思う.前世や来世を凍死したりするのは深夜枠の放送なら許せるがゴールデンはいかがなものか,という立ち位置がオトナっぽい気もするけど,それは気のせいな気がする.おれはどうせ見ないと言うのは単なる事実の表明で,気になるのは,それでおわりにして良いものかどうかだ.


2007年3月 2日 (金)

知ってはいたけど,最近まで分かっていなかったこと(3)



画像はジャングル大帝で(人と動物の)コミュニケーションがテーマとなってる場面のひとコマ.最初に読んだときから印象的だったのですが.幼稚園にあがる前の子が,夕方母から携帯を借りて,職場に居る父=私あてに次のようなメールを寄こし,受け取ったときに上記ひとコマを思い出したりしながら,印象を強くした次第.



ちひちひにたひたはたはてらたさふたはたさはたらたらあはたあはさああはいふたひたふ



画面には出鱈目な文字列があるだけだけど,なんの意味かパパにはわかるの(←莫迦).



ジャングル大帝 (1) (手塚治虫漫画全集 (1))

ジャングル大帝 (1) (手塚治虫漫画全集 (1))



  • 出版社/メーカー: 講談社

  • 発売日: 1977/06

  • メディア: コミック




2007年3月 1日 (木)

コンピュータジオメトリ



計算幾何学の勉強をする必要に迫られて,複数読みました.断然分かりやすかったのは次の本.値は張りますが,応用例も豊富で,説明も丁寧.



コンピュータ・ジオメトリ―計算幾何学:アルゴリズムと応用

コンピュータ・ジオメトリ―計算幾何学:アルゴリズムと応用



  • 出版社/メーカー: 近代科学社

  • 発売日: 2000/01

  • メディア: 単行本(ソフトカバー)




縮退した場合などへの対応など,この分野の数理的な奥深さを感じさせてくれた良書は次の本.



計算幾何工学

計算幾何工学



  • 出版社/メーカー: 培風館

  • 発売日: 1994/05

  • メディア: 単行本




あれ,ほかにも列挙しようとしたら,はまぞうにひっかからない.


知ってはいたけど,最近まで分かっていなかったこと(2)



ピーターラビットが人気なのは知っていたし,自分も小さいころに読んだはずなのですが,三十もとっくに過ぎて読み返す機会があって,今更ながらその絵にグッときています.再発見ではなく,私にとっては初の発見.子供のころは,その絵の良さが分かってなかった.


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