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2007年7月18日 (水)

地震・原発・耐震強度



最新の工学を駆使するとして,建造物の耐震強度はどの程度正確に見積もれるものなのだろう.普通に分からない.


「破壊」は非線形な現象だ.「非」線形とはよく言ったもので,「線形ではない」現象はすべて非線形.基本的に工学は非線形な現象を線形で近似して扱う.近似の難しい非線形な現象を前にすると,途方にくれる場合が多い.


例えば割り箸一本の強度を「実際に折らずに」どの程度正確に予測できるのだろう.素材である木の物理的特性や割り箸の長さのような構造上の特徴を入力するだけで,「どのように曲げると,いつ折れる」と正確に推定できるものなのだろうか.この分野に暗いので見当が付かないけど,ひょっとしてベラボウに難しいのではないか.割り箸の曲げ方にも,方向や速度や変形の繰り返しの頻度や捩れさせ方などのバリエーションが豊富にあるし,割り箸の「ささくれ」や「傷」や湿気の有無や繊維のムラにも強度は依存する.その依存の仕方が,例えば「ささくれの量」に比例せず,「非」線形なのではないか.


建物の耐震強度は,その構造だけで決定できるはずがなく,地盤への固定の仕方にも大きく依存するであろう.また,構造物の強度はひび割れひとつで大幅に(例えば共振周波数が変化することで)非線形に変化する.最初のひび割れが構造物のどこに発生するかを有意に推定することなど,できそうな気がしない.そして最初のひび割れの位置が変化すると,その後の外乱に対する強度変化は劇的に変化するだろうと思う.


そもそも地震予知がいまだに出来ないのは,地震もプレートの破壊という非線形な現象であり,その破壊がいつおこるかが各種パラメータの値に線形には依存していないからであろう.


そういえば人工衛星組み立ての際,衛星の各種部材の検査をおこなう.その検査の工程で実際に曲げたりすると,その検査のための曲げのために部材が疲労して,打ち上げの際の成功率を低下させると人づてに聞いたことがある.曲げないと検査できず,検査すると部材が疲労する.建物の耐震強度も,実際になにかを試さないと正確には推定できないのではないか.


船の建造には,溶接を使わず,リベットによる接合が使われると聞く.わざと破壊しやすい部分を作り,その破壊に対して頑健性を発揮する構造を別途用意する.賢い戦略で感心する.このような知恵を必要とするのも,元を辿れば「破壊」という非線形な現象の予測が難しいため,わざと弱点を作って破壊の予測をしやすくしているわけで.


原発の安全性というとき,どのくらいの外乱(地震とか)に対して「無傷で耐えられるか」という評価よりも,何パーセント破壊されても大丈夫,といった評価のほうがしやすそうだし冷静な議論をする取っ掛かりになりそうな気がするのは,えーっと,私がこの分野に暗いからかもしれない.


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