生物と無生物の間
やっぱり自然科学は面白いなぁ,と思う.ジョージ・パラーディが細胞内のタンパク質の流れを可視化した実験手続きなんて,目から鱗だ.頭いいなぁと思う.
DNAから一部遺伝子を取り除く(ノックアウトする)とその欠落部を他の部分が補ってくれる,でも,ノックアウトしたDNAに「不完全な」遺伝子をノックインすると機能不全になるとのこと.こういう記述をみると,例えば上司が居なくても機能してた部署が,能力の不完全な上司が来ると機能しなくなるようなエピソードを連想したりもする.で,そういう楽しみ方は私も嫌いじゃないけれども,なんというか,この本の筆者の態度からみると,軽い.
この本は「動的平衡系の許容性」に関する記述で締めくくられている.読みやすさとは裏腹に,でも本文では頻繁に指摘されているとおり,科学的な態度には慎重さやストイックな態度が含まれている.そして,この本の文章も慎重に「安易なレトリック」を避けている.
動的平衡系の許容性の数理を手がかりに,この本と同じくらい良質な読み物が出てこないものか.
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