格差問題解決の本当の処方箋
という文があったのは,フォーサイトの7月号.大竹文雄氏.すこぶる面白かった.
- ジニ係数で測った所得格差は七〇年代末から拡大してきた
- 所得格差増大の多くは人口の高齢化で説明できる.(同じ年齢層の内部の所得格差は四十代以降拡大する傾向にあるため)
- 二〇〇〇年代に入ってから,高齢化に加えて,同年齢層内部の格差拡大がはじまっている.
- 米国と違って,低所得者の所得シェアの低下がおこっている.
- その理由は…
と続いていた.明快で,すこぶる勉強に.
技術革新やグローバル化が格差拡大の原因であれば,その直接的対応策は教育訓練の充実
不況で低所得者が増えたのなら,景気回復で格差問題は解消
新規学卒者は景気回復の恩恵を受けている.(略)学校卒業のタイミングが数年違うだけで,生涯所得の格差が存在するというのは,許せることではない.
などなど.このあと,地域格差について考える際の指針も示されていた.学生を見てると,学校卒業のタイミングに,親と共にとても敏感になっている.「好景気だから今のうちに就職しようと思うんです」と学部生から言われることが今年は多い.
労働移動や地域間移動を阻害する要因の排除と,教育・訓練の充実こそ,何よりの格差対策
そのとおりなんだろうなぁと思う.職場を移動すると,移動直後は自分のパフォーマンスは落ちる.恒常的に社会全体で労働移動が起こると,全体の見かけのパフォーマンスは(移動直後な人の割合が増えるので)落ちるはずで,そういうことに雇う側が気付いてると,なかなか労働移動に積極的になりにくいかもれいない.本当は,移動阻害の要因が排除できれば,人的パイプとかネットワークとかが組みあがってきて,長期的には今より良いところで平衡するかもしれないのに.
格差社会って何だろう (内田樹の研究室)を読んで上記記事を思い出したので,メモ.
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