風の谷のナウシカ
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ワイド版 風の谷のナウシカ7巻セット「トルメキア戦役バージョン」
著者:宮崎 駿 |
テレビで久し振りに。面白いなぁ。まさにエコロジーを扱った話であった。ナウシカは魅力的なキャラクターで、その魅力の一部は、彼女が科学者であるところにも由来する。
彼女は腐海が土を浄化する、そのサイクルに自力で気付く。映画冒頭は彼女による実験用の胞子採集のシーンでもある。気付くきっかけを映画では「父の病気を治したくて」と言っていたが、原作では「腐海を見まわっているうちに」と言っている。もちろん、原作のほうの台詞でなければならない。対象を観察して直観を得て、仮説をたてて、実験により検証する。腐海や蟲を愛してはいるが、腐海原理教徒ではないのだ。
映画では、王蟲の幼虫をペジテがどうやって捕獲したのかなど、重要な点が明らかにされていない。原作では、地球を浄化するという目的をもった腐海という自然が不自然であることが指摘され、その背後について丁寧に語られる。科学により新たな種を開発したり命あるものを創造したりすることができて、しかし、科学により生み出された個々の命は創造主に所有されるものではなく、その尊厳はその創造の過程には依存しない。
科学は必ずしも生命を機械仕掛けに還元するものとは限らない。科学による環境や生体の制御は、命の尊厳を奪う行為とは独立であるし、環境や生命の貴重さを訴えるのに非科学的なエコ原理主義に走る必要もない。
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投稿: LouisBleta | 2020年1月10日 (金) 00時38分