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2008年7月26日 (土)

自己と非自己

ネットワークセンシングの調査委員会で、生物学で免疫系の研究をしている先生からレクチャを受ける。自己非自己の認識の話が面白かった。

キラー細胞では、「活性化因子 - 活性化レセプター」の組と「自己マーカー - 抑制性レセプター」の組の二組がある。前者でキラー細胞は活性化するが、自己マーカーが受容されると抑制される。基本的に攻撃したくて仕方のない細胞があって、自己マーカーによってその攻撃が抑制されているという構造。アクセルは常に踏まれていて、自己マーカーによってブレーキも踏まれていて、自己マーカーをもたない対象についてはブレーキがはずれてアクセルのみとなって攻撃がおこなわれる。

自己マーカーは糖鎖の構造というかパターンであり、糖鎖のパターンはゲノム配列で直接決定されるのではなく、ゲノムが決定する酵素で決定されているとのこと。自己マーカーの決定は遺伝的な立場から見ると、間接的である。DNA(アデニン)とかタンパク質(アラニン)の結合が1次元的にしかできないことに比べて糖鎖が多次元結合できることも興味深い。

糖鎖のパターン「のみ」が自己非自己の識別に利用されているのだとすると、物理的に壊された細胞をマクロファージが貪食することをうまく説明できないように思う。物理的に破損した細胞壁は破損したあとも糖鎖でコーティングされているのであろうから。その旨質問したら答えをもらった。生きた細胞はイオンポンプなどで電位差を生み出し続けている。その電位差は細胞が壊れると維持できなくなる。そのような(壊れることで維持できなくなる状態)変化をマクロファージが検知して攻撃する(のではないか)とのこと。

生体内部の状態は健康であれば定常であり、その状態には電位差とか糖鎖パターンとかの「不変量」がある。その不変量が自己を規定するということのようである。一方、非自己の現れ方は多様であり、このため、不変量をもたない対象のすべてを(システムのパフォーマンスの観点から有害か否か検証したりすることなく)排除する。さらに、自己か否かを識別するだけではなく、免疫系として非自己の一部はそのパターンを記憶しておく。この記憶が獲得免疫であって、深刻な異物に対する防衛能力を高めることができている。その記憶のための、樹状細胞とかヘルパーT細胞とかの仕掛け。

面白いなぁ、と思う。読まなきゃ駄目かもなぁ。

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定常状態であることを検出するセンサと、定常状態ではないことを検出するセンサ。後者については、定常ではないことを検出するSingle-class classifierのタイプと、定常ではないことのうち特定のもののみを検出するものタイプがある、ということを備忘。

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