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2009年9月10日 (木)

不景気なときの工学部学生の就職について知っている幾つかの事例

研究が好きで会社に入ってからも研究を続けたいと思っていて実際に研究で飯を食っていけそうな資質を持った学生が意中の大手企業に就職内定したのが昨年の4月とか5月で,そのあと当該の会社も不景気になってリストラをはじめて,その学生が今年の4月に配属されたのは残念ながら零細な部署で,配属された日の上司の第一声が「君たち,かわいそうに」だったとのこと.その上司も徹底的に如何なものかと思うが,その学生の配属後の状況を聞くと,この半年間実際仕事に魅力を感じたり将来に希望を見出したりする機会もなく「正直つまらない」とのこと.そして,この感想は,その学生だけのものではなく,その会社の同期入社の友人共通の感じ方であるもよう.仕事が多くて大変で辛いのではなく,暇だからつまらない.とりあえず,その学生は英語の勉強とその他関連分野の論文読みは継続していて,機会あらばなんらかのアクションをおこそうとしているとのこと.会社は宝の持ち腐れであり,もったいないことである.

工学系の大学院は専攻によって人気の高低に差があり,高い専攻では入試の結果定員の1.5倍近く進学させるところも以前はあったが,文科省が「定員の1.1倍程度に抑えることが望ましい」と独白してるとのことで,それならばと以前のように景気よく合格者を出さないように方針は転換されつつある.その結果大学院入試に落第して8月から就職活動を開始する学生の人数が増えつつある.でもこの景気では8月から学生を採ってくれる会社の数には限りがあって,大学院入試に落第した学生たちは苦戦している.会社の規模を気にしなければ意外とまだ就職できそうではあるのだけれども,景気の先行きが楽観できないときほど会社の規模も気になるはずであり,「昨今の学生は中小企業というだけで毛嫌いする」と一概に責める気にもなれない.むしろ,Webでのみ会社に関する情報を収集する学生が多いほうが気になる.興味のある会社があるならそれとなく出社・退社の光景を現地に見学にいくくらいの手間はかけても良いかもしれない,とは思う.

どうしても就職先が決まらないときには,大学の研究生になったり4年生のまま留年したりする選択肢がある.卒論をまとめて発表して卒業して研究生になると新卒扱いにならなくて,一方卒論をまとめずに留年してわざと次年度に卒業するようにすると新卒扱いになって,前者と後者では後者のほうが就職に圧倒的に有利になるとのこと.新卒か否かだけで大きな差を設けるこのクダラナイ状況はなんとかならないのかとは思うばかりで,どこから手を付ければこの状況を改善できるのか.企業と大学を組みにして改革,といわれてもその具体的なプロセスが想像できない.

そういえば,日本の大学は入るのが難しくて出るのは楽だとはよく言われているところだ.でも大学教員としては,講義をしたあと機械的に不出来な学生を落第させるほうが圧倒的に楽なのであり,愚図愚図と無目的に留年を繰り返したりメンタルに参ったりしてる一部学生のケアに全国の大学教員の労力がどれほど多く費やされていることか.このケアを一切やめると中途退学学生が多数出てくるはずであり,新卒を極端に重視する企業ばかりの現状ではそのような中途退学者の今後を悲観せざるをえなくなるのであり,それが分かっているから卒業できるまで手厚く保護せざるを得なくなる.その程度には大学教員は学生の卒業後のことまで心配している.コドモ扱いして学生の心配をすることの是非は自明ではないかもしれないけれど,大学が出口を厳しくして中途退学者の数を増やすことで大学-企業間のシステムが変化しはじめるかというと,しないのではないか.というか,仮に変化しはじめるとしても長いタイムラグが必要なはずで,そのタイムラグの間を,退学した学生の人生が持たない可能性が高すぎる.JABEE導入もこういう「出口重視」の文脈で語られることが多いけれども,企業の認知度は高くない.

というわけで,こういう状況はそれなりに広く知られていることなのであろうし,そこで目端の利く高校生は国内の大学に入学することなく,早々に日本国外に脱出してるのであろうか.現状はどうなんだろう.頭脳流出って言葉は流出しっぱなしの語感だけど,普通に異国と日本との間で留学したり戻ったりの交通が出来上がらないものだろうか.そういえばEUの学生・大学・企業の交流の規模をみると,彼我の差に少し驚く.

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