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2010年12月29日 (水)

モリニュクス問題

Molyneaux’s Problem

Suppose a blind man learned to identify a cube and a sphere by touch. If the shapes were then laid before him and his vision restored, could he identify them by sight alone?

先天的に盲目の人が、立方体と球を触覚により識別することを学習したとする。仮に立方体と球がその人の目の前に置かれ、彼の目が見えるようになったとき、その人は見た目だけでそれらを識別できるだろうか。

モダリティの異なる計測データ間の写像の問題に落としてみる。

 

触覚だけで立方体と球を識別することを学ぶ過程で、大きさやテクスチャや重さの異なる立方体と球を何回も触り、大きさとかテクスチャとか重さに関する触覚の特徴が捨て去られる。そして、触覚に基づく識別に有用な立方体モデルと球モデルが獲得されるのだろう。この学習の過程で、識別に適した手指の運動法も学習されるであろう。

 

触覚の学習のあと、視覚により立方体と球が知覚される。もちろん、頭の位置を動かすことは許されるのであろう。両眼でしかも頭を動かしながら対象を観測すると、3次元の形状が知覚される。立体の各位置の曲率も知覚される。ただし、陰影や模様も知覚される。

 

対象を見ながら触るという経験をしたことがないので、触覚データと視覚データの間の対応付けが未学習。このため、

  • 「触覚による識別用の立方体モデル」から「球の視覚データ」への写像
  • 「触覚による識別用の立方体モデル」から「立方体の視覚データ」への写像

上記それぞれの写像をこれまでの経験と矛盾させることなく構築することができてしまう。このことから「立方体と球は識別できない」という結論を導出するのが妥当な気がする。特に、各立体に模様が書いてあったり、模様はなくても陰影があるときには、触覚モデルに基づく視覚データの識別はより困難になる。モデルからデータへの写像を一意に推定することは無理だろう。

ところで。

目が見えるようになったあとも見ながら対象を触ることはせず、様々な立方体や球を、様々な視点・照明条件で見て、視覚により両方の立体を識別できるように学習したとする。ただし、触覚による学習の時に使われていた「立方体」と「球」という呼称は使わずに、例えばそれぞれを「立体A」と「立体B」などと呼んで識別できるように学習する。視覚による学習の後では立方体と球の幾何的な定義に近いモデルを獲得しているであろう。照明の変化に対する見えの変化のモデルも獲得できているかもしれない。

 

立体Aの幾何モデルと立体Bの幾何モデルが与えられていて、どちらかが立方体でどちらかが球だとする。そして立方体と球の、触覚に基づいたモデルなら持ち合わせているとする。この状況でなら、立体AとBのどちらが立方体でどちらが球かを対応付けることができるだろうか。見ながら対象を触ったことがないから、まだモデル間の写像には任意性がある。でもモデル間の写像の単純さのようなものを基準にすれば、対応付けられるのかもしれない。写像の単純さのような基準は触覚もしくは視覚による識別モデルを学習する過程で獲得されるようにも思う。もともと立方体と球の違いは幾何に基づいて定義されていて、その定義に沿った特徴量が触覚による識別の際にも学習されているのであろうから、異なるモダリティのデータに対する立体識別用のモデルがそれぞれのモダリティで学習されていれば、それらモデル間の対応付けはできてもおかしくない。

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